今、あなたの前には、購入したドクターフィッシュが透明ビニール袋に入っている。早速、ビニールを開いて水槽にドクターフィッシュを流し込もうとしている。
ちょっと待っていただきたい。
実は、ドクターフィッシュを弱らせてしまう大きな要因が、すぐに水槽に入れてしまうことだ。これをやってしまうと、初心者に限らず飼育のプロでも、体調を戻すことはかなり難しい。
そうならないために、水合わせは絶対に必要ということだ。
そこで、このページでは、ドクターフィッシュを水槽に入れる前に必ずやらなけらばならない水合わせのやり方を、以下2つご説明する。
- 水温合わせ
- 水質合わせ
さらに、弊社ガラノートで実際に行っている水合わせの方法を、注意点や用意するものを踏まえて詳しく解説していく。
つまり、このページに書いてある通りに水合わせをしていただければ、あなたも元気なドクターフィッシュを育てる最高のスタートができるようになる。
ぜひ、じっくりご覧いただいて、あなたにも実践してみて欲しい。
まだ飼育に必要な用品が揃っていない場合は、『ドクターフィッシュ購入前に知っておきたい必要な飼育用品11選』を参考にしていただきたい。また、水合わせを行うときに必要な用品も含まれているので、併せて確認しておこう。
これからご紹介する内容は、すでに飼育している水槽がある、または新しい水槽セッティングが完了していて、あとは魚を入れるだけという状況であることが大前提になる。
目次
1、水合わせとは
水合わせとは、「水温と水質を合わせること」をいう。
つまり、購入したドクターフィッシュを別の水槽環境に移動させるときに行う、水質や温度を徐々に合わせてショック死しないようにするために行うことだ。
別の異なる水槽に急に入れてしまうと、生体に大きな負担がかかる。
例えば、あなたが、急に富士山の頂上に移動したら寒さで凍えてしまう。また、熱湯風呂に急に入れば火傷する、つまり、体が弱ってしまう。これと同じように、ドクターフィッシュも急激な水質変化に耐えられずにショックを起こしてしまうのだ。
そんな負荷を和らげるために、水合わせは必ず行う必要がある。
それでは、さっそく見ていこう。
2、水温合わせの方法
2-1. 袋のまま水槽に浮かべる
まずはじめに行うことは、セットした水槽にドクターフィッシュの入ったビニール袋を開封せずにそのまま浮かべる。
この作業の目的は、ビニール袋の水温と水槽の水温を徐々に合わせ、水温ショックを防ぐために行う。
この時、水槽の水が溢れないように気をつけよう。
2-2. この状態で30分放置する
だいたい30分程度この状態にしておけば、水温合わせは完了だ。
ドクターフィッシュおよび魚類は、変温動物のため水温変化にかなり敏感な生き物だ。「少しくらいの温度差なら大丈夫だろう」と勝手に決めつけずに、しっかり行おう。
3、水質合わせの方法
水温合わせが完了したら、次に、水質合わせだ。
水質合わせは、水温合わせと同じく、急激な水質変化、つまりPHショックを防ぐために行う。
弊社ガラノートが、水質合わせに使っている用品を下記にまとめたので用意しておこう。
- エアポンプとエアストーン(袋の中に酸素を供給するため)
- 袋を水槽に固定するテープ
- 水をすてる時に使うクリーナーポンプ
- 捨て水を入れるバケツ
- PH測定器(あってもなくてもどちらでもよい)
5を除いた1〜4の用品は、100円ショップ ダイソーで揃えることができる。
それでは、早速ご説明していく。
3-1. エアレーションを入れて水質合わせの準備をする
まずはじめに、袋を縛っている輪ゴムを解いて、水質合わせのセッティングをする。
水質合わせの途中で、ドクターフィッシュが酸欠を起こさないように、袋の中にはエアレーションを最後までしておこう。
この時、ご注意いただきたいのは、袋の水が水槽に流れ込まないようにすることだ。
なぜなら、袋の水には、ドクターフィッシュが移動中にしたフンや汚れなどが含まれている可能性があるからだ。袋の一部をテープで水槽に固定して、袋の水が水槽に流れ込まないように注意しておこう。
3-2. 袋の水を 1/3 程度すてる
袋の水を 1/3 程度すてる。
水をすてる時に、クリーナーポンプを使うと便利だ。
3-3. 水槽水を袋の中に、すてた水量だけ入れる。
次に、水槽水を袋の中に、すてた分の水量だけ混ぜ合わせる。
水槽水を入れる時に使うものは、コップやペットボトル、風呂桶など使い勝手のいいもので問題ない。
3-4. この状態で15分待つ
水槽水を袋の中に混ぜたことで、水質が少しずつ変化していく。
この状態で、15分程度放置しておく。
水槽水と袋水のPH値を正確に測定したい方には、弊社で愛用している『マーフィードPH測定器』がオススメだ。しかし、この記事に書いてある通りに実践すれば、PH測定器の必要はない。
3-5. 3-2.〜3-4.を繰り返す
新しい水槽でドクターフィッシュが住みやすい水質環境を整えるために、3-2.〜3-4.の手順を繰り返し行っていく。
この繰り返しおこなう水質合わせの作業を、弊社では、1〜2時間かけてじっくりと行うようにしている。
そうすれば、急激な水質変化を避けることができ、生体にかかる負担を限りなく抑えることができるからだ。
間違っても、早く水合わせを終えたいからと、急いでこの手順をいい加減に行うようなことだけはヤメていただきたい。
4、ドクターフィッシュをゆっくり水槽に入れる
ここまで丁寧かつ確実な水合わせをしてきた。
水合わせが完了したからと、一気にドクターフィッシュを水槽に流し込んではいけない。
固定したテープを袋から外して、エアレーションを水槽に戻し、袋からドクターフィッシュが自分自身で水槽に出られるように、袋を横向きにしよう。
こうすることで、最後の最後まで、ドクターフィッシュに負担をかけることなく水合わせを完了することができる。
しかし、まだこれで終わりではない。
5、最後に弊社がしている2つのこと
ここで終わってもいいのだが、弊社ガラノートでは、ドクターフィッシュの体調を整えるために以下2つのこと行っている。念には念をだ。
- 塩浴で体力回復と殺菌予防をする
- エサは1〜2日与えない
さっそく、ご説明しよう。
5-1. 塩浴を行う
ドクターフィッシュがあなたの元に届くまで、袋詰めの状態で1日以上は経過している。長い時間、密封されたことによって、ストレスで体調を落としている可能性もある。
そこで弊社では、水合わせをした後に塩浴を行っている。
塩浴には、浸透圧を調整して生体にかかる負担を減らし体力を回復させることと、病原菌の殺菌効果がある。
あなたには、せっかく購入したドクターフィッシュを最後まで面倒よく見て欲しいので、ぜひ塩浴をしていただきたい。
5-1-1. 塩の選び方
あなたが普段、口にしている食塩でも問題ない。
ただし、化学調味料が含まれている塩など、アミノ酸が混ざっている塩は使わないようにしよう。
5-1-2. 塩の量
塩浴に必要な量を計算する方法は、
水槽の縦(cm)×水槽の横(cm)×水面までの高さ(cm)×塩分濃度(0.3〜0.5%)
例えば、60×60×30cm水槽を使用、水面25cm、濃度0.3%の必要な塩の量は
60×60×25×0.3%=270g 270gの塩を使用する。
5-1-3. 塩の入れ方
バケツに水槽水を入れ、その中に塩を入れてよく混ぜる。そして、ゆっくりと水槽に入れるだけだ。
塩浴について詳しく知りたい方は、『いつもと動きが違う!そんな時は「塩浴」で体力回復』を参考にしていただきたい。
5-2. エサは1〜2日間は与えない
環境の変化が原因で、エサ喰いがよくない場合がある。
その場合、残ったエサが水質を汚してしまうために、エサは1〜2日は控えている。
数日間、ドクターフィッシュにエサを与えなくても問題ないので心配はいらない。
6、まとめ
いかがだっただろうか。
弊社ガラノートが実際に行っている水合わせをご説明してきた。難しいことは、何ひとつないことは分かっていただけただろう。
最後に、水合わせの要点をまとめておく。
- 水温合わせをする
- 水質合わせをする
つまり、急激な水の変化を避けるために、徐々にゆっくりと水槽の水に慣らしていくことが水合わせの重要なポイントということだ。
あなたもこのページに書いてある通りに実践していただければ、元気なドクターフィッシュを育てる最高のスタートができるようになる。
ぜひ、愛情込めて、ドクターフィッシュを元気に育てていただきたい。
ドクターフィッシュを購入する際は『ドクターフィッシュは値段で決めない!失敗しない購入先の選び方6選』を参考にしていただきたい。